交わらない赤い糸
好き。



そんな風に彼に言えたら。



会いたい。



「…なんて名前なんやろ…?」



毎日同じ夢を見る。



彼とすれ違ったあの一瞬を、何度もリピートされて声をかけようとしたら目が覚めて…。



「…バイトそろそろ辞めよっかな…?泣」



そんな矢先やった。



「とりあえず新作と売り上げのええやつを…」


「本人が今日来て選ぶらしいで」



へ?



そうなんや…



ほなあんま準備はいらんか。



「どんな人らなんやろー?」



夏目くんと話しながら来るのを待った。



カランカラン♪



「あ、いらっしゃいまっ…」



その瞬間、思考が停止した気がした。



店の扉んとこにおる6人の男の人の中に…



ずっと探しとったあの男の人がおった。



「…な、なっ!」


「どしたん?」


「あの…あの人やっ!」



間違いない。



茶髪の男の人…



間違いなく彼やった。



「お世話になりまーす!」


「あ、店長から話は聞いてるんでお好きにどうぞ」



夏目くんが丁重な言葉で接しとった。



モデル?とかなんかな、この人ら…。



ほなあの人も…



「……」


「あのー…」



ビクッ



「は、はい」



肌の黒い男の子に話しかけられた。



「このTシャツに合うパンツありますか?」


「あ、えっと…」



紺のカチッとしたパンツを渡した。



「あ、あざっす」



男の子はパンツを受け取ると、何やら他の2人と話し始めた。



…あの人や…。



「かわええよな、あの店員さん」


「……」


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