交わらない赤い糸
「ほな盛り上がっていこか!」


「おう!もうあんな奴忘れるんやから!」


るきちゃんといざ合コンへ。



ザワザワ…



inカラオケBOX



…どないすんねん。



るきちゃんの男友達の友達…



ブサイクばっかやん、泣。



どやって出会い求めんねん、これ…。



「なぁなぁ、美央ちゃんって彼氏おらんの?」


「え、あ、まぁ…」



まあまあマシな顔の人…



「俺さ、」


「君みたいな清純っぽい子、タイプなんよな〜」


「…私ってブスですか?」


「え?どこが?そこらのアイドルよりかわええで?」



…平野の野郎、眼科行った方がええんちゃう?



自信あるような、ないような…。



「あっ!この後よかったら…」



…え?



カラオケを出た後、お酒飲んだせいか身体がポカポカして、ただ平野を思い出して苛立って…。



居酒屋でまた、男の人にお酒を勧められて…。



「…え、ちょっ…」



気付いたらラブホ前。



どんだけ意識飛んでたんや?



「ここまで来て?」


「私別にそんな…」


「え?…たまってるんやろ?」


「…帰ります!」



ブッサイクな顔して、不機嫌オーラを醸し出す男の人にムカついた。



グイッ



「…え?」


「ほら、行くで?」


「や、やだ…」


「ほらっ!!」



っ…



抵抗出来ずに連れ込まれそうになった。



ドカッ!!



……あれ…?



私の腕を掴んでた男が、地面に倒れてた。



ダッ!!



「うあっ!?」



パーカーのフードの男の人に腕を引かれ、ラブホ街を抜けて走った。



タッタッ…



……あっ!



フワッと風が吹いて、この人の香水の香りが漂った。



「…ひ、らの…」



タッタッ…



人通りの多い繁華街のとこに出た。



「…アホ!ブス!低脳女!!」



グサッ、グサッ、グサッ…。



「…何で助けてくれたん…?」



驚きを隠せんかった。



この人があんな行動に出るなんて…。



「たまたまあそこおったから」



…ラブホですけど。



「……」


「…あのさ、」


「…何ですか?」



涙を堪えながら、平野の話を聞いた。



「お前、ほんとブスやなー!」



グサッ。



このタイミングでまた言われた…泣。



「でも、視界に入っても大丈夫なブス」


「…それ貶してます?」


「褒めてるんやん」



…変なのー。



私が好きになった人。



アイドルのくせに笑わんし、口悪いし、優しくない奴。



「……」


「おいブス、一回助けたからって調子に乗んな」



ピンッ



「った…分かってるわ、ゲス野郎」



デコピンをされた。



…だけど、やっぱ私はこの人に恋をしてる。


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