交わらない赤い糸
ー美央sideー




カツカツ…



店の改装をしてるうちに、すっかり遅なってしまった。



「終電間に合うかな…」



街はもう真っ暗で、駅の灯りだけがポツンとあった。



「よかった…」



ピッ



改札を抜けた先の駅のホーム。



私以外もうサラリーマンがポツポツとおった。



タッタッ…



「…ふー…」



階段を下りた。



…わっ。



ちょっ…



真反対の駅のホームで、カップルがキスをしていて、まるで映画のワンシーンみたいやった。



「ほな、また明日な!紫耀っ♪」



…え…



女の子を乗せた電車が行った後、平野がホームに立っていた。



…キスしてたんは、平野やったん…や…?



目の前で起きた事に、頭がついていかんかった。



「……」



やだ、胸が痛い。



ナニコレ…?



「…っ…」



思わずその場にしゃがみ込んだ。



キューッと締め付けられたように、息苦しかった。



タッタッ…



「おいっ!」



平野…?



「大丈夫か?」


「…だい、じょうぶ…」



そう言っても頭が痛み、胸が苦しかった。



カタカタと小刻みに身体が震えもした。


「おいっ!おいっ!」



ーー……



そのまま意識が遠のいた。



タッタッ…



誰かが息切れをして、走っていた。



ーー…



「美央っ、美央っ!」


「……るきちゃ、ん…?」



目が覚めたら、るきちゃんが私の名前を呼んでた。



「…ここ、病院?」



点滴を打たれてた。



…何が起きたんやっけ…。



「もー超ビビってんで?美央に電話したら、男の人が出たんやから…」


「へ…男…?」



ギシッ



起き上がって、るきちゃんから話を聞いた。



「【急いで来てやっ!】って」



…もしかして…



「…平野…?」



「そっ!んで私が来るまで、美央のそばにおってくれてたんやで」



…!?



胸が苦しかったのに、今度は心臓が飛び出そうやった。



「あの人、意外とあんたに気ぃあるんちゃい?」



な、ないない。



あんな暴言吐かれてるんやで?



「……」


「それに、おんぶして病院まで運んでくれたんやで?」


「お、おんぶ!?」



…///



途端に顔が熱なった。



「…あっ。なぁ、これ平野のちゃう?」


「…ほんまや」



…!?



よう見たら、名古屋の高校やった。



ま、まじか…



名古屋の人やったんや…。



「それ今度会ったら渡しとき?」


「うん…」



好きやって気付いた日から、私の想いは日に日に増していってる気がした。



「しょー!おっは!」


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