交わらない赤い糸
ー美央sideー




「いらっしゃいませー」


「もう大丈夫なん?」


「うん。点滴打ってもらってスッキリ〜♪」



日曜やから、お客さんは多かった。



キョロキョロ…



「はいはい、平野君を探さんの!」



何でバレたん!?



カランカラン♪



「…あっ」


「こんにちはー!」



確か平野の…



爽やかな肌の黒い男の子。



「紫耀なら、今日は予定入ってますよ?」



「…そっか」



って。



何落ち込んでるんや。



「あのー、新作のTシャツあります?」


「これですか?」


「そうでーす♪んで、お姉さんのLINEも教えてください♪」



…はい?



「仲良くなりたいんです」



…まさかの。



アイドルの男の子(年下)にナンパされた。



「プライバシーなので」


「えー?ほな、夏目さん送っといて?」



は?



「お、分かったー」



え?



夏目くん、この子とLINEしてたん?



「永瀬廉です」



な、がせ…名前までかっこええな。



「…うん」



どうやらこの子は、平野と違って社交的で、積極的な子。



「ほな、また来ますんで♪」



カランカラン♪



…台風のようやった。



「あの子にしたら?」


「夏目くん、LINE教えたらあかんで?」


「何で?」



…何でって…



あんな男の子、絶対余計なこと言いそうやし。



「ふーん…?」


「何?」


「美央、意外と女の子なんやなーって思って、笑」



ポンポンッと私の頭を撫でた。



え?



「好きな男には自分からLINE聞きや?」


「…それが第一の課題ですけどね」


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