交わらない赤い糸
ー美央sideー




平野が好き。



その想いに嘘はないけど、好きって言葉を伝えるんは恥ずかった。



「てかさ、あんたら付き合っとんの?」


「…どうなんやろ?」



平野は、確かに抱きしめた。



私で頭がいっぱいだと知った。



だけど…



「好きとは言われてへん…」


「まじで?そうなん?それって、その時の気分で…とかなん?」



ズキンッ…



…さすがにそこまでない、よね…?



100%って言えんかった。



平野は、色んな女の子と、色んな関係を持っとって…



あの時も…



そうやったんかな…。



「…でも、私…」


「ん?」


「それでも、好きなんや…」


「…ほんまはあんな性格、ちゃうと思う」



周りのこと1番に考えてて、気遣いもほんまは出来て…



「それなら、平野君信じるしかないんやない?」



るきちゃんが私の頬をムニッとつねった。



なぁ、るきちゃん…。



平野は、私に心を開いてくれるかな…?



「…抱きしめられた時さ、ちょっと期待したんや」



あぁ、平野も同じ気持ちなんやなって。



両想いってこんな感じなんやって、勝手にテンション上がって。



「…その時の気分やったのかもなー…」



それでもええんや。


なんて思う自分が嫌やった。



…あっ。



「あ、どーもー!」



黒いマフラーを巻いた眼鏡の永瀬君が来た。



「20時上がりだよねー?」


「え?あ、うん…?」


「僕それまで待ってるから」



は?



カキカキ…



「僕の電話番号…」



私の手にマジックで書き、店を出てった。



「……?」


「…モテ期やね?」


「…もてあそばれて捨てられる時期の略やん」



永瀬君。



女子が憧れる爽やかなイケメン君。



「何かあったら報告よろしくー!」



何喜んでるんや、この人。



…何企んでるんやろ?



「…れーんくん♪」


「んー?何?」


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