交わらない赤い糸

平野との一夜?

タッタッ…



スーパーの袋を持ったまま、私は深夜の路地を走った。



「…はぁ…はぁ…っ」



タッタッ…



マンションの近くの公園のベンチに横たわっとる平野がおった。



「……」


「…お前、遅いよ」



何故か、平野は傷だらけやった。



「…平野さ、」


「…女の男にボコられた」



そんなん見たらすぐ分かった。



他の女の子より、私を呼んでくれたことが嬉しかった。



「…て、手当てするから。ウチ行こ?」



よっと…



平野に肩を貸し、2人でマンションまで向かった。



ガチャッ


ドサッ



ソファーベッドに平野を寝かせ、救急箱を取ってきた。



「うわ…結構ハデにやられたんやな?」



顔や腕に痣が出来てた。



この人一応アイドル…やんな?



「…そんな女が大事なら首輪ぐらい付けとけやって話しやん」



ジュッ



「!?ってぇっっ!!」


「こんぐらい我慢して」


「もっと優しくやれや」



おいおい、そんな事言える立場?



「…よしっと」



ペタッ



平野の頬に湿布を貼った。



「はい。終わり。ご飯作るから、待っとって?」


「……」



トントン…



ジューッ…



…肉じゃが、好きかなー?



ギュッ


「ひゃっ!?」



突然後ろから平野に抱きしめられた。



「…な、何っ?」


「…お前料理出来るん?」


「出来るよ!」



私の肩に顎を乗せ、私が野菜を切り終えるまでずっとくっついてた。



「平野、嫌いな食べ物とかある?」


「…にんじん」



「残念ー!肉じゃがにニンジンは不可欠やから、食べてな?」



グツグツと鍋で野菜を煮込んだ。



「…髪結ぶんや?」


「え?」



確かに今は邪魔やから結んだけど。



それが…どしたん?



「エロいよな、お前」


「はっ!?︎///ど、どこがっ」



初めて言われたわ。



「全部や」


「ド変態ー」


「お前が悪いんやろー、笑」



意味も分からず笑う平野。



…よかった。



笑ってくれて。



「あ、出来た〜!」



肉じゃがを器に移し、リビングのテーブルで平野と食べた。



ニンジン嫌いなのに、最後まで美味いって言って食べてくれた。

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