交わらない赤い糸

もう平野に会えない?

ー美央sideー




「…もうすぐ春かぁー…」



退院の日。



刺されて入院してから2ヶ月が経ち、2月の中旬。



「とりま退院祝い行っとく?」


「せやなー!焼肉とか?」


「ナイス夏目!♡」


「…あ、ごめん。私今日予定あんねん」



2ヶ月間、平野を見ることはなかった。



会いたいって思えば思うほど涙が溢れて、ほんまに私なんかが好きになってええ人ちゃうんやって…



そう実感した。



「…美央︎、怪我治るまでバイトは休んどき?」


「治ったから退院してるんやってー、笑」


「せやけど…」


「…もう、忘れるから」


「…ほんまに?」


「…関わったらあかん人やったんや」



一目惚れなんてするもんちゃうな…。



好きになったんがアイドルで、運命なんか寒い言葉信じてた。



「さっ!焼肉行こー♪」


「…お、おう!」



私たちは、前と変わらぬ生活に戻った。


< 50 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop