交わらない赤い糸
グツグツ…



るきがバイトで遅くなった時、美央と二人になった。



「わっ、夏目くんやっぱ料理上手ない?」


「これぐらい普通やってー」



不器用な美央︎は野菜切り担当。



グサッ



「ぎゃっ!」



指から出血。



「ったく…」



消毒をして、絆創膏を貼ってあげた。



世話のかかる子やわ…。



「ははっ、ありがとう、笑」


「後は俺がやっとくから、待っといて」



ジューッ



野菜炒めを作り、リビングに持っていくと、美央は寝てしまっていた。



「……」



ギュッ



ー…。




何となく、握った美央の手。



ちっさ…



「…何してるんやろ?」



その日、初めて美央に触れたいなんて思いがあることに気付いた。



「……」



ありえへん。



そう言い聞かせながら、ただ、美央を見守った。

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