王子様はハチミツ色の嘘をつく
第四章
王子様はひとりだけ
迎えたデート当日、天気は快晴。
私は欠伸をかみ殺しながら、マンションの前で創希さんを待っていた。
眠い。ゆうべ緊張してあんまりよく眠れなかったんだよね……。
悩みに悩んだ服装は、気合が入りすぎに思われないよう、デニムにゆるニットっていうカジュアルな感じにしてみたけど、変じゃないかな。
優しい創希さんなら、たとえ変でも褒めてくれるかもしれないけど。
そんなことを思いながら腕時計を見ると、約束の十時を少し過ぎたところだ。
顔を上げて辺りを見回すと、遠くから見覚えのある車が近づいてくる。
たぶん、創希さんの車だ。……どうしよう、急にドキドキしてきた。
「――お待たせ。ゴメンね、ちょっと遅れちゃった」
予想通り、私の目の前で止まった車から、笑顔で創希さんが出てくる。
私と同じで下はデニム、上は白のインナーに思わず目を引かれる鮮やかなピンクのパーカー。
カジュアルで爽やかさあふれる服装が、彼によく似合う。
「大丈夫です。それで、今日はどこへ行くんですか?」
「美都ちゃん、星は好き?」
「星?」
「プラネタリウムはどうかなぁと思って」
プラネタリウム……行ったことがないけれど、映画館みたいなものだよね?
見ている間は、会話に悩んだりしなくていいからありがたいかもしれない。
「大丈夫です。よろしくおねがいします」
ぺこりと頭を下げると、創希さんはうれしそうに目元を緩めてうなずき、助手席に私をエスコートしてくれた。