王子様はハチミツ色の嘘をつく
だ、だって、始めるって、どうやって! まずは準備運動? いやいや、スポーツじゃあるまいし……でも、ある意味スポーツなのかな……?
またしてもあれこれ考え始める私に、社長はため息交じりにこうこぼす。
「……きみの心の準備を待っていたら朝になりそうですね」
それからおもむろにシャツを脱ぎ始め、あっという間に上半身裸の状態になってしまった。
わ……意外と、筋肉、すごいかも。ジムで鍛えてたりするのかな……?
服を着ているときは見えなかった厚みのある胸筋や綺麗に割れた腹筋に思わず見惚れていると、社長は痺れを切らしたように私の元まで歩み寄ってきた。
「見られたくないのなら、明かりを消しますけど……自分で脱ぐのと僕に脱がされるのは、どちらがいいですか?」
なんですかその恥ずかしすぎる質問……!
どっちを取っても、最終的には全部見せることになるんだよね……?
いい加減、腹をくくらなければ。
「あの……お、おねがい、します」
蚊の鳴くような声で告げた瞬間、ふわりと身体が宙に浮く。
も、もしやこれは、お姫様抱っこ……!?
感動している間に優しくベッドの上に降ろされて、私の長い髪がシーツの上に散らばった。
そして、すぐに社長の熱っぽい瞳と視線がぶつかり、私たちは何も言わずにしばらく見つめ合う。