王子様はハチミツ色の嘘をつく
なにをぶつぶつ言っているんだろう? そこはかとなく、いやーな予感がするけど……。
「決めました。今夜はきみを、一晩中苛めることにします。……覚悟はいいですか?」
い、いやぁぁぁ! 予感的中ーっ!
「そ、そんなの、覚悟できるわけありませ――っ!」
噛みつくように反論しようとしたのに、静也さんが私の口をキスでふさぐ。
それでも抵抗しようと腕を突っ張って彼の胸を押し返そうとすると、邪魔だと言わんばかりにその腕は掴まれ、頭の上で縫い付けられてしまった。
とうとう無防備になった私は、呆気なく彼の餌食……。
初めて与えられるたくさんの甘い刺激に、堪えても抑えきれない声がこぼれて、瞳が潤む。
本当に、意地悪なひと……。
そう思いながらも、何度も繰り返されるとろけるようなキスや、私を愛しそうに見つめる眼差しに、あふれるほどの愛を感じて、心も体も甘く満たされていった。
「美都……きみを、愛してる」
抱き合っているさなか、秘密をささやくように耳元で彼が告げると、私は思わず涙をこぼしてしまった。
幸せなのに、泣きたくなるなんて……私って本当に泣き虫だ。
「静也さん……私も、です」
いつしか解放されていた手は彼の両手と指を絡ませて握り合い、私たちはシーツの波に溺れて、ひとつに溶け合った。