王子様はハチミツ色の嘘をつく


「ごめんなさい、あの……」


私、怒られる可能性ばかり考えていたけれど、静也さんを傷つけてしまったんだ、きっと。

創希さんとのこともあるし、なんで中途半端なことばっかりしてるのよ、私……!

全部正直に話して、これはそういうのじゃないって、わかってもらわなくちゃ。


「静也さん、これは」

「――言い訳はいいです」


抑揚のない声で言葉を遮られ、私はうつむく。

どうしよう……。説明も、謝罪も受け入れてもらえないのかな。

泣きそうになって黙り込んでいると、隣から伸びてきた彼の手が、私の手首を掴む。

顔を上げると、静也さんの切なげな瞳と目が合って、胸が軋んだ。


「きみは、誰のものですか?」


ゆっくりと、確認するように静也さんが尋ねる。

答えようとしている間に徐々に身体を倒されて、淡いピンク色のシーツに背中を預ける。

強い力で拘束されたままの手首は少し痛いくらいだったけれど、それを怖いと思うどころか、むしろ彼の想いが伝わってうれしいと胸をときめかせているんだもの。

私は、間違いなく、あなたの虜――。


「私は、静也さんのもの……だから。お仕置き、して、ください」


そう言葉をこぼすと、急に妙な沈黙が流れた。

……あ、れ? 私いま、もしかしてちょっとアブナイ発言した?

ふと我に返ると、さあっと血の気が引いていく。

だって、お仕置き“してください”って! 私、いつからそんなハレンチな女に!?

ほら、静也さんも絶句してるじゃない……!



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