王子様はハチミツ色の嘘をつく
あれ……? 私、てっきりダイヤだと思っていたんだけど、これ、スワロフスキーなんだ。
そんなこともわからないなんて、私の目は節穴か! 勝手に勘違いして恥ずかしい。
でも……スワロフスキーってこんなに綺麗なんだ。好きな人に贈られたものだから、余計に輝いて見えるのかな……?
しみじみと考えながら、静也さんの隣に腰を下ろす。
「……ダイヤと見間違えるくらい綺麗だから、びっくりしました。今まで宝石に縁のなかった証拠ですね」
自嘲気味に呟き、静也さんと出会うまでの長いおひとりさま人生に思いを馳せる。
少しも恋愛に縁がなかったのは寂しいことかもしれないけど、今考えれば、恋愛に関する色々な“初めて”を静也さんと経験できたんだから、逆によかったのかもしれない。
婚約指輪をもらう“初めて”だって、相手が静也さんだから、こんなに幸せなんだよね。
左手を目線の高さに掲げ、七色にきらめく指輪を眺める。
「でも……今は静也さんのおかげで、毎日がこんな風にきらきらしてます。こんなに幸せな気持ちを教えてくれて、ありがとうございます」
はにかみながらお礼を言った私に、静也さんはクスッと笑みをこぼしてひとこと。
「美都はやっぱり美都ですね」
「……え?」
言葉の意味が分からなくて聞き返すと、彼は衝撃の事実を明かした。
「その指輪についているのは、本物のダイヤですよ」