王子様はハチミツ色の嘘をつく
「ところで……きみはなかなか刺激的な格好をしていますね。“襲え”という意味ですか?」
刺激的な格好……? あ、そういえば、裸にシーツ巻いただけなんだった!
「ち、違います!」
「残念……今日は休日だから、早い時間から苛めてもいいかなと思ったんですけどね」
セクシーな流し目で告げられ、ドキッ!と大きく心臓が跳ねた。
眉尻を下げて困った顔をする私に、「やっぱり“襲え”って言ってる」と呟いた静也さんは、私の肩に手をかけてするっとシーツを身体から滑り落とした。
「ほ、ほんとに朝から……?」
高鳴る胸をおさえつつ上目づかいで問いかけると、にっこり笑った静也さん。
「ええ。朝から……晩まで」
「ば、晩って……! それは、困りま、――――、んっ」
反論は突然のキスに飲み込まれて、私はとうとう観念した。
緩んだ唇の隙間から柔らかい彼の舌が侵入してきて、熱い吐息がこぼれる。
ああ……私は結局このまま“一生翻弄されっぱなし”の運命をたどる気がする。
でも、はちみつのように甘い、彼の意地悪と嘘の中で溺れることは、私にとって、何よりの幸せだからいいんだ。
これからも、たくさん騙されて、からからわれて、泣かされて。
きっと今以上に、あなたを好きになっていく。
END