王子様はハチミツ色の嘘をつく
考え事をしているうちに到着した電車を降りると、駅から徒歩三分の、自宅マンションに向かって歩き出した。
すぐに見えてきた七階建ての建物は、新築ではないけれど築浅だからまだキレイ。
駅はもちろん、コンビニや銀行も近いとあって、ちょっと家賃は高めだけれど気に入っている。
共用エントランスをくぐってエレベーターに乗ると、自分の部屋がある四階を目指す。
四階について、通路の中ほどにある自宅の扉を開いて部屋に入ると、なんだかどっと疲れてしまいふらふらとベッドに向かった。
ワンルームって、こういうとき楽だよね……。
昨日は社長の家だったからできなかったけれど、今日は勢いよくベッドに倒れ込めるのが嬉しい。
ぼふん、と身を横たえると、すぐに睡魔が襲ってきた。
お腹もすいていたけど、もう立ち上がるのが面倒になってしまった。
お昼に高級なお寿司を食べたから、栄養的にはきっと大丈夫だよね……。
なんて、都合のいい考えで勝手に納得すると、せっかくの綺麗なワンピースが皺になるのも気にせず、私はまぶたを閉じた。