鈍感ちゃんと意地悪くんのその後の物語
「美空? みーそーらー?
あれ? 兄貴?」

慌てた様子で声を上げながら、優斗が走ってやって来た。

「おまえ、遅いんだよ」
「お兄ちゃんが、助けてくれた!」

同時に言われて、のされた男をみて。
ああ、と、弟は頷いた。

「ありがとう、兄貴。わざわざごめん。
授業中なのに」

いいんだ、と言って、そっと美空ちゃんの背中を押す。
弟の前で美空ちゃんはうるうると涙を溜め込んでいた。
怖かったもんな。
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