鈍感ちゃんと意地悪くんのその後の物語
「瀬田、あたし、知らなかった……。
それでバイト、忙しくしてたんだね?

ごめんなさい、昨日、怒っちゃった……。
大嫌いって言って、ごめんなさい……」

彼女は紅い顔で泣きそうになりながら、瀬田君に謝った。
そうか、プロポーズ前に、忙しい理由を秘密にしてたのか。

それは彼女も不安だったのかも知れない。
知らなければ怒りたくもなるよね。
って、わたしはどうして好きな男性のプロポーズを冷静に見守って、且つ分析してるんだろ。

「いいんだ、言ってなかったし、焦りすぎたよ、
急に一緒の時間が減って仕事ばかりになって。
不安だったんだよな、俺こそ、ごめん」

瀬田君は、彼女の両手を握った。
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