鈍感ちゃんと意地悪くんのその後の物語
「ありさちゃん!
お財布しまってしまって」

奥から出てきた美空のお母さんが、慌ててわたしの手にその手を添えて、財布をカバンに戻させた。

「っで、でも……」

「お客さんにだそうかどうか迷ってるもので、お代はとれないわ。
それより、感想をありがとう。
これ、よかったらもって帰って?」

持たされた箱からは、良い匂いが漂っている。
さっきの、ベリーパイだ。

「美味しいって言ってくれたから。
よかったら、ご家族と食べてね?」
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