鈍感ちゃんと意地悪くんのその後の物語
「も、申し訳ないです、やっぱりお代を……!」

「やだわ、わたしが勝手にやってることに、お代なんてないわ。
そうね、じゃあ、これからも美空と仲良くしてやって?」

ね?
と言われれば、それ以上もう何も言えない。

「あ、ありがとうございます……」

にこにこした顔で、何故か頭を撫でられて。

「ありさちゃん、また来てね」

ああ、確かにこの二人は、親子だ、と、思ってしまう。
無条件に優しくて、可愛くて、人を思いやる。
立花親子は、よく似ている。

「え、あの、はい……。
ありがとう、ございます」

何だか頭を撫でられたことがくすぐったくて、少し紅くなる。
だって、そんなこと、実の親にもされないのに。

ふふふ、と美空のお母さんは手を振った。
私は手を振り返して、店を出た。

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