海は悲しきものがたりいふ
わがゆく道もおのづから見ゆ
頼之さんは頭を下げると、もう一度言った。
「若輩の身ですが、あおいさんとお腹の子供を一生守りたいと思ってます。」
「頼之さん……やめて……」
頼之さんにそんなことしてほしくない。
頭を下げる必要ない。
「違うねん。頼之さんは関係ない……」
いくら言っても、頼之さんは私を睨んで首を横に振った。
「関係大有りや、って言うてるやろ。」
ないわっ!
てか、困る!
ぽかーんと口を開けていた父は、おもむろに立ち上がるとお洗濯中の母を呼んできた。
「あおいが、妊娠してるらしい。小門くんが責任取るって言ってるんやけど……」
……いや、責任を取る、とは言うてはらへんねんけどね……実際、頼之さんに責任ないし。
父の言葉に母は私と頼之さんの顔を何度も見た。
「……あおい、ほんまなん?」
私は返答に困った。
「妊娠は、してます。産みます。でも私は結婚は考えてへん。」
とりあえずそう言うと、母はぐにゃりと顔を歪めた。
「彩瀬が大変な時に、どうしてそんなことに……。小門くん……。」
頼之さんは、母に向かって座り直して言った。
「いえ!予定日は11月21日だそうです。逆に吉川の入院や手術であおいさんの身体の変化に気づくのがくなってしまって、もしかしたらお腹の子を危険な目に遭わせていたかもしれません。それを思うと一刻も早くご報告してお許しを得るべきだと思いました。お願いします。結婚させてください。」
嘘は一つも言ってない。
頼之さんは全て本気で言っている。
私と彩瀬の子を、身を挺して守ろうとしている。
でも、それでいいのだろうか。
彩瀬はまだ生きているのに。
明日をも知れぬ命だけど、生きてるのに……彩瀬を無視してこんな……。
私はお腹に両手をあてた。
「小門くん。ご両親には何て?」
父がそう聞くと、頼之さんは首を振った。
「まだ言ってません。つい先ほど病院で確認したばかりですので。今夜、伝えます。」
……そうだった。
やっぱりあかんて!
頼之さんのお母さまの気持ちを考えたら、流されて結婚なんか絶対したらあかん!
「頼之さん、もういいから。やめて。」
私はそう言ってから両親に向き合った。
「頼之さんの子じゃありません。私の子。絶対産むから。」
両親は顔を見合わせて困惑していた。
「……つまり、小門くんの子である可能性はないわけね?」
母の言葉に、頼之さんは頬を赤らめた。
ため息をついて父が苦笑いしている。
「小門くん。娘のために代役をかって出てくれて、ありがとう。お気持ちだけいただいておきますね。」
元々頼之さんに好意的だった母は、頼之さんの侠気(おとこぎ)に微笑んだ。
「若輩の身ですが、あおいさんとお腹の子供を一生守りたいと思ってます。」
「頼之さん……やめて……」
頼之さんにそんなことしてほしくない。
頭を下げる必要ない。
「違うねん。頼之さんは関係ない……」
いくら言っても、頼之さんは私を睨んで首を横に振った。
「関係大有りや、って言うてるやろ。」
ないわっ!
てか、困る!
ぽかーんと口を開けていた父は、おもむろに立ち上がるとお洗濯中の母を呼んできた。
「あおいが、妊娠してるらしい。小門くんが責任取るって言ってるんやけど……」
……いや、責任を取る、とは言うてはらへんねんけどね……実際、頼之さんに責任ないし。
父の言葉に母は私と頼之さんの顔を何度も見た。
「……あおい、ほんまなん?」
私は返答に困った。
「妊娠は、してます。産みます。でも私は結婚は考えてへん。」
とりあえずそう言うと、母はぐにゃりと顔を歪めた。
「彩瀬が大変な時に、どうしてそんなことに……。小門くん……。」
頼之さんは、母に向かって座り直して言った。
「いえ!予定日は11月21日だそうです。逆に吉川の入院や手術であおいさんの身体の変化に気づくのがくなってしまって、もしかしたらお腹の子を危険な目に遭わせていたかもしれません。それを思うと一刻も早くご報告してお許しを得るべきだと思いました。お願いします。結婚させてください。」
嘘は一つも言ってない。
頼之さんは全て本気で言っている。
私と彩瀬の子を、身を挺して守ろうとしている。
でも、それでいいのだろうか。
彩瀬はまだ生きているのに。
明日をも知れぬ命だけど、生きてるのに……彩瀬を無視してこんな……。
私はお腹に両手をあてた。
「小門くん。ご両親には何て?」
父がそう聞くと、頼之さんは首を振った。
「まだ言ってません。つい先ほど病院で確認したばかりですので。今夜、伝えます。」
……そうだった。
やっぱりあかんて!
頼之さんのお母さまの気持ちを考えたら、流されて結婚なんか絶対したらあかん!
「頼之さん、もういいから。やめて。」
私はそう言ってから両親に向き合った。
「頼之さんの子じゃありません。私の子。絶対産むから。」
両親は顔を見合わせて困惑していた。
「……つまり、小門くんの子である可能性はないわけね?」
母の言葉に、頼之さんは頬を赤らめた。
ため息をついて父が苦笑いしている。
「小門くん。娘のために代役をかって出てくれて、ありがとう。お気持ちだけいただいておきますね。」
元々頼之さんに好意的だった母は、頼之さんの侠気(おとこぎ)に微笑んだ。