お気に入り同期と恋人ごっこ
「おはよっ!」
いつものように元気な奥野さんの挨拶。
「あ・・・おはよ」
少し戸惑い気味のあたしの挨拶。
「まだ延長?」
「延長って?」
「夕べは機嫌悪かったじゃん
まだそれの延長かと思ってさ」
「機嫌なんて悪くないですけど!
それに例え機嫌が悪かったとしても
次の日まで持ち込みませんから!」
「ひぇー!!!こわっ!」
「もー!!!」
こんなやり取りが沈んでた心を
暖かくしてくれる。
やっぱり 他の誰よりも
好きだ。
「そー言えばさ
再来週の日曜にバスケの試合があるんだけど
事実上最後の試合になるんだ
怪我してた人が復帰なんだとさ
それで見に来る?」
見に来る???
この前までは『来てくれ』だったのに
来ても来なくてもいいよという口振り。
でも最後のバスケしてる姿を
見ておきたかったから
「行っていいなら行くよ
結構バスケしてる奥野さんって
カッコいいしね!」
冗談ぽく本気を言ってみた。
「はぁ?今頃気づいたのか?
オレのカッコよさ!
惚れてまうやろぉ~?」
「はぁ・・・」
わざとらしく ため息をついてみせる。
「ため息つくなよな
超感じ悪い!」
「あはは」
「笑うな!」
ふざけあってると
「奥野さんちょっと」
工藤さんに呼ばれてしまった。
いつから居たの?
呼ばれて姿を消した奥野さん
あたしはまた胸が苦しくなる。