お気に入り同期と恋人ごっこ


「コーヒーでいい?」


「オレがするからいいよ
体調悪いのに気を使うな!
どこに何があるかはわかってるから」


体調悪くないのにな
ここは体調不良ってことに
しておくべきなのか。


「あ・・・じゃあ」


あたしはソファーに座った。


「ほら!甘いやつ入れてきたぞ」


インスタントコーヒーに
ミルクたっぷり入れて持ってきてくれたのを
「ありがとね」と受け取った。


「うめー!自分で入れて言うのも何だけど
美味いわ!」


「インスタントですけどね(笑)」


「バカ!
インスタントは微妙な加減が重要なんだよ
スプーンの盛りの加減がね」


「ふーん」


「何か食った?」


「食べてないよ」


「だと思ってほら」


紙袋から食べ物を取り出した。


「あ!!!焼き鯖寿司じゃん」


「来る途中に見つけてさ
調子悪いからこんなの胃に堪えるかな?
と思ったけど朱音は好きだったじゃん
だから買ってしまったというね」


「よく覚えてるね 鯖寿司のこととか」


「それだけ朱音のことを
思ってたってことだよ
朱音は覚えてる?オレの好物」


・・・なんだっけ?


「お・覚えてるよ・・・」


「何?」


「えっとねぇ~えーっとぉ」


「覚えてねーじゃん!
無理して思い出さなくていいよ
実はオレも 忘れてて
鯖寿司食いてー!と思ってたら
あれ?朱音も好きだったなと
思っただけだから」


と 笑ってた。





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