お気に入り同期と恋人ごっこ
どのくらいたっただろうか
焼き鯖寿司を二人で完食したころ
玄関のチャイムの音が鳴った。
「彼?奥野くん?」
「来ないよ 宅急便かな?」
印鑑を持って出てみると
来ないはずの奥野さんが来てた。
「あ・・・送別会は?」
「終わった」
「二次会は?」
「顔だけだして帰って来た」
「なんで?」
「なんで?何でって聞く?」
「だって・・・」
奥野さんは玄関の靴を見た。
「あ・・・誰かお客さん来てるの?」
マズイ・・・
あっでも別に奥野さんとあたし
付き合ってる訳じゃないから
誠が居たって関係ないか・・・。
いや・・・でもマズイ気がする。
奥野さんを追い返さないと・・・
でも せっかくあたしの元へと
来てくれてるのに・・・
すごく優柔不断のあたし。
すると奥から「何?」
誠が出てきてしまった。
「お・奥野くん」
「太田さ・・・ん?」
状況を読んだ誠は
「会場で調子悪いって言ってたから
来てみただけなんだ 今帰るところだから」
と 奥に荷物を取りに行って
また玄関へ戻ってきた。
「太田さんがそんなに急いで
帰る必要無いでしょ
オレが帰りますよ」
玄関を出ようとした奥野さん。