お気に入り同期と恋人ごっこ
そんな奥野さんの言葉なんて無視をして
誠は帰ってしまった。
奥野さんは「話もあるから」
と上がってきて
テーブルの上のさっき食べた
鯖寿司のパックやお皿やコップに
目をやって一言
「上野って誰でも家に上げるんだな」
と 言った。
「お見舞いに来てくれたから・・・」
「ふーんお見舞いね!
始めから計画済みか?
お互い連絡取り合って」
奥野さんは勝手な想像を始めた。
待って!
あたしがそんなに言われる必要ある?
元はと言えば 奥野さんにも責任あるよ?
常務にあと一日この日のあとに
恋人じゃないからと暴露すればいいものを
早めに言うから常務に嫌なことを言われるし。
「ってか 別にあたしが誰を部屋にあげようが
奥野さんには関係ないよね?
恋人じゃないんだし」
もう、あたしは何を言ってるのか
自分でもわからないくらい
パニックを起こしていた。
「ああ・・・そうだな」
悲しくなっちゃう・・・。
「太田さんとどうなってんだ?」
「告白された」
(嘘だけど・・・)
「オレのこと恋人だと思ってんだろ
どーすんだ?」
「違うよってほんとのことを話したよ」
(これも嘘だけど・・・)
「あっそう
ちょうどよかったわ!
オレも常務の娘と付き合うことになって
なんかさぁ~始めは嫌だったけど
中々いい子でさ~気に入っちゃって
上野に恋人役を頼んでたからさ
上野に言い出しにくくてさ」
やっぱり・・・常務の言った通り
意気投合・・・。