お気に入り同期と恋人ごっこ


あたしが会社へ帰って来たのは
夕方だった。


「あ・・・上野さん
ちょうどいいところで会ったわ!」


あたしを呼び止めたのは工藤さんだった。


「ああ何?」


「これをさ 奥野さんに渡しててくれない?」


茶色の大きな封筒を渡された。


「えっ?奥野さんならデスクに居るんじゃないの?
行ってみれば?」


「も!!!冷たいな~
あなたの方が近いでしょ
2階に上がらなくて済むから」


「わかりました」


それを受け取り重い足取りで
販売部へと帰ったのだった。


「ただいま帰りました」


「無事に帰って来たな」


「部長!当たり前じゃないですか」


茶色の封筒をとりあえず
自分のデスクに置いて
部長に報告に行ったのだった。


「御苦労さん!お茶でも飲んで一休みしたら
そこの書類に目を通して誤字がないか確認してくれ
それから・・・・・」


次々を用事を言いつける部長に
「鬼ですね」と思わず言ってしまった。


しかし仕事の忙しさで
昨日の事を考える間が無くなってたのはありがたい。


だけど
茶色の封筒の存在もすっかり忘れていた。


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