お気に入り同期と恋人ごっこ
販売部に帰ると部長からすぐに
「上野よかったな
追加発注するんだってな
お前はセンスがあるんだな」
と 久々お褒めの言葉を頂いた。
みんなからも拍手を貰って
隣の席の奥野さんからも
「おめでとう!」と言われ ついに
あたしの涙腺は破壊されてしまった。
「ありが・・・とう・・・
ござい・・・ます」
「泣くな!」
「・・・予想・・・してなくて
買い取り覚悟してたから・・・」
「泣いたら余計にブスになるぞ!」
「いいもん別に」
ずっと冷たい態度だった奥野さんから
久々以前のようなこんなやりとりに
涙が増してくる。
「バカ!太田さんに嫌われるぞ!」
あ・・・。
「だ・大丈夫だよ」
「そうか 太田さんは上野に
ベタぼれってやつか?
うんそんな感じだったよな」
違うけどね。
「奥野さんこそ
美也子さんとうまくいってる?」
「美也子・・・あ・・・うん
ご心配なく!!!」
そんな元気よく『ご心配なく!』
なんて言われたらあたし
また胸が痛くなっちゃうよ。
「だよねぇ~あたしがそれ聞いて
どうすんだ!って話よね」
「そー言うこと!」
以前のような口調で会話してるものの
内容は聞きたくないようなこと。