お気に入り同期と恋人ごっこ


「坂元さんがなんて?」


部長があたしに聞いた。


「おめでとうってそれから
飲みに行こうって誘われました」


「男前はいいよな
誘っても喜んで貰えるからな
ワシたちだったら
えー!!!部長とですかぁ?
って迷惑がられるもんな」


よくお分かりで!(笑)


「イケメンだから
ドキッとしちゃいますもんね」


あたしはその場が楽しくなると思っていったのに奥野さんはそう取らなかったみたい。


「彼氏が聞いたらがっかりするぞ
考えて言わないと!」
と まるで説教をするかのように
あたしに言ったのだ。


男なら誰でもいいのか・・・
前に言われたことを思い出した。


幸い部長には『彼氏が~』と言うのは
聞こえてなかったみたいなので
『お前彼氏居るのか?』とか
余計なことを聞かれなくて済んだけど。


「そういう意味で言ってないんだけどね
そろそろ時間だから先に帰るね」
と会社を後にした。


cafeについてアイスコーヒーを頼んだあたし。


ボーとしながら
無意識にストローでクルクル混ぜてる。


「おい!こら!」


「あっ・・・恵夢来てたんだ」


「もー!暗い!まさかまた愚痴?
もー!あんた酔うと寝ちゃうから嫌だ!」


「今日は飲まないから大丈夫
良いことを報告しようと思ってた」


「思ってた?過去形?
ってことは?
まさかまたあの男と何かあった?」


「ちょっとぉ~あの男って・・・」


「あの男よ!グズ!」


「ちょっと嫌味を言われただけ
あっ!あたしがそう取っただけかも・・・
今日はそんなことじゃないの!
Tシャツ完売してね
追加発注になったんだよぉ」


「えー!!!すごーい!
お祝いしなきゃ!」


だから誘ってるんだけど・・・。


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