お気に入り同期と恋人ごっこ


ついにその日がやって来た。


あたしは普段と変わらない
というか普段よりは緊張していた。


なのに・・・。


「上野今日は朝から浮かれた顔をしてるな
あ・・・そうか彼氏が来るからな」


と奥野さんに言われて嫌な気持ちになる。


10時を回ったころ青葉の職人さんが到着し
誠の口から二日間の工事になるとの説明を受けた。


作業場所は倉庫なので
前と違っていつも姿を見ると言うことは
なさそうだが・・・・・。


「奥野!倉庫に行って在庫のトレーナーを
持ってきてくれるか?」


部長が奥野さんを指名した。


「すもませんオレちょっと手が離せないので
上野に頼んでいいですか?」


「ああ・・・いいけど
ちょっと重いからと思ってな」


「上野なら大丈夫ですよ
力持ちなんで」


はぁ?あたしが力持ち?


「なぜあたし?」


呟くように言ったら


「太田さんに手伝ってもらえば?
そのくらい運んでくれるだろう?」


「あの人は仕事中よ」


「オレはオレなりに気を使ってんだけどな~
彼氏に会わせてあげようと思って」


思いっきり嫌味に聞こえるんだけど


「別に今会わなくても
昨日も会ってるからご心配なく!!!」


嘘で返した。


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