お気に入り同期と恋人ごっこ
「お仕事中すみません」
倉庫に入ると誠も一緒に仕事をしていた。
脚立を用意してあたしよりも
高いところにある段ボールを取ろうとすると
「これを取るのか?
そこ退いて!」
と 誠が取ってくれて
「台車はねーの?
一人じゃ無理じゃない?重いぞ」
と言いながらあたしに
その段ボールを手渡した。
確かに・・・重い。
「大丈夫~って言いたいけどぉ~
重いかなぁ~」
「どこまで持っていくわけ?
2階?」
「うん・・・そう」
「持っていってやるよ」
「大丈夫大丈夫!」
「そんなこと言っても重いぞ」
「大丈夫~ 重くなったら
サイコロのように転がすから!
『何が出るかな何が出るかな』ってね」
「アハハ ウケる!
それってお昼の番組じゃん!」
「正解!
それでは失礼しました」
重い段ボールを抱え出ようとすると
「だ・か・ら!貸して」と
ひょいと段ボールを持ち上げて
あたし販売部まで運んでくれたのだ。
「ありがと」
「奥野くんは何してんの?
彼女じゃなくなったら知らん顔?
冷たいやつだな!」
あ・・・
元から彼女じゃないんだけどね。
「手が離せないと言ってたから」
「ふーん」
誠が運んでくれたのを見て
部長は『すみません迷惑かけました』
と誠に謝っていた。
「重そうで可哀想だったから
運んできました 女の子には無理っすよ」
と 誠は自分の仕事場に帰っていった。