お気に入り同期と恋人ごっこ


【今日飯行こうか?】


お昼に誠からラインが来た。


【今日は残業になりそうだから
無理かな】


【どのくらい残業?】


【一時間と思う
だから また今度で】


【オレに恋人の振りをさせるんだったら
ご飯くらい付き合ってもよくない?】


あ・・・それを言われると
何も言えない。


【そうだね じゃあ終わるまで待ってね】


気は乗らないけどご飯に行くことにした。


残業を終えて
誠が待つロビーへと行くとちょうど
奥野さんも通りかかった。


「久しぶりだね奥野くん」


「ですね あれ以来ですもんね」


あれ以来=あたしの部屋で会った以来


「あの時はびっくりしたよ」


「でも、安心してください
オレは上野に対して恋愛感情なんて
全く無かったことですから」


余計なことを言わないでほしい
それに恋愛感情がなかっただなんて
改めて言わないでよ。


恋愛感情なんてないことぐらい
わかってるもん。


でも・・・
誠はあたしたちが恋人ごっこしてたことを
知らないから・・・
ホントに付き合ってたと思ってるのに。


すると急に誠が怒り出した。


「何お前!!!
恋愛感情がなかった?」


「そーですよ
あれ?上野?言ってないの?」


ここでバレちゃう。


「誠帰ろう!」あたしは
必死に誠の手を取り帰ろうと言うのだが。


「待て!話は終わってない」


「もー!いいから」


誠の血相を変えた顔は
すごく怖い。



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