お気に入り同期と恋人ごっこ
「誠・・・」
誠は
「元気そうだな
再会の祝いにごちそうになるわ」
と言いながら出てきたコーヒーを取った。
「あ・・・」
「まさか こんなところで
再会するとはな」
「帰って来てたんだ」
「今年の年度変わりからね
意外と早く地元へ帰らせてくれたからね」
「誠の働いてる所って
青葉電工だったんだね」
「朱音は彼氏の勤め先を
知らなかったってことだね
言ってたよね?
それかもう忘れたってことか」
グサッとくる。
「だって・・・」
青葉電工と取引してても
何も思わなかったのは事実。
「青葉電工は旧青田電器工業なの!
葉山電器工業と2年前に吸収合併して
名前を変えただけ」
ああ~青田・・・
そう言われると 聞いた気がする。
合併なんて あたしが入社したときだから
名前の変更とか知らないし。
彼氏の勤め先知らなかったとか
さっきの言い方めっちゃ嫌味じゃん。
「ちゃんとファッションデザイナーに
なったわけ?どこに勤めてるの?」
「Gスポーツ」
「はぁ?デザイナーになってないじゃん!
夢があるからとか言っておいて? 販売業?」
「そんな言い方ないじゃない?
ちゃんと免許は取得したし
Tシャツとかデザイン書いたりするよ
でもまだそれが採用されないだけ」