お気に入り同期と恋人ごっこ



「大丈夫?・・・ですか?
痛くないです・・・か?」


誰が聞いてるかわからないから
馴れ馴れしく言ったらいけないかと思うと
言ってる自分も変。


「ちょっと痛いかな」


「腫れて・・・る・・・」


「朱音が舐めてくれたらすぐに治るよ」


「はぁ???」


あたしはすぐの周りを見た
セーフ・・・近くには誰もいない。


「なんでそんなこと言うの?」


小声で言った。


「冗談だよ冗談」


「もう知らない!自分でやって!」


そこにシップを投げるように置いて
去ろうとすると監督さんが
「持ってきたならついでに貼ってやってよ」
とまたあたしを呼んだ。


無言であたしはシップを貼った。


その時試合の終わりを告げるホイッスルが鳴った。


ーーー負けてしまった。


「くそー!負けてしまったか」


足を負傷しているのに
整列に行こうとする誠。


「動かない方がいいんじゃない?」


「大丈夫だよ このくらい」


しかし 整列には間に合わなかった。






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