お気に入り同期と恋人ごっこ


出口で青葉電工の人たちに会った。


もちろん誠もその中に居る。


「もう終わり?」


誠の問いに
「はい 今日はデートなんで」
と いきなりあたしの手を繋いで
その手を高々とあげて見せた。


「ヒュー」なんて囃し立てる職人さんの横で
「あっそう興味ないし」みたいな対応の誠。


「では お先にぃ!」


あれからパソコンで豚カツのお店を
色々検索してホットペッパーで予約したそうだ。


「今日デートなんでぇ~って
また恋人ごっこ?」


「うん!練習しとかないとね」


「練習?」


「今月末の試合も頼まれたから」


「試合頼まれたイコールあたしも?」


「常務が連れてこいってさ」


「また来るんじゃないの?娘さん」


「かもな」


「ならあたしが行かない方がよくない?」


「何いってんの?
途中放棄は認めないからな」



そりゃあ あたしも嬉しいけど
嬉しいけどよ また恋人気分を味わえるのも。


でも 娘さんのこととか誠のこととか
考えると両手あげては喜べないな・・・。


その時


「あー!!!!!朱音ぇー!
見ちゃったぁ~へぇー!
そう言うこと?いつから?
願い通り・・・」


わっ。。。
いつから恵夢が?願い通り・・・
まぁ そこで止めてくれたからいいものを
恵夢の言いたいのは
『恋人になれたんだ』だと思う。


「今晩電話待ってるから
ちゃんと説明よね!」


って。


そりゃ 思うわな
好きだ好きだと恵夢にだけ伝えてるけど
その相手とバッチリ手を繋いで
歩いてるんだから
あたしだって思うよ。


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