お気に入り同期と恋人ごっこ
結ばれた夜
今日は誠たちの青葉電工の最終日。
ーーーお世話になりました
また不備があったらいつでも
声をかけてくださいーーー
『誘っていいかな?』の問いに
『どーぞ!』と奥野さんが言ったものだから
平気で『今日食べに行かない?』と
堂々と誘ってきていたが
1度も行くことはなかった。
なのに
あたしと奥野さんが居るところへ
わざわざ現れて
「上野さん飯食いに行こう!」
って あたしを名指して誘ってきたのだ。
「えっ・・・」
「今日最後だし いいよね?奥野さん」
「・・・それは・・・
オレも一緒ならいいですよ」
奥野さんはこの前あたしが
『普通は付き合ってたらいいよとか
言わないよね?』なんて 言ったから
今回は『オレも一緒なら』って
言ったんだよね。
「えー!最後なんだから
1日ぐらいは貸してくれてもいいじゃん!」
貸してとか。
あたし品物じゃないですけど!
「オレが一緒に行ったらダメなのなら
朱音一人では行かせられないから」
言ってくれた
すごく嬉しい言葉だった。
「仕方ないな それならいいよ
奥野さんも行こう」
・・・3人?
それもまた嫌なんだけど。。。
「監督!ここに居たんですかぁ?
社長さんが探してましたよ」
「あ・・・
今日は社長と約束があったんだ
奥野さん上野さんまた今度ね」
誠は職人さんに呼ばれ
あたしたちの前から居なくなった。
セーフ。。。
「なんだったんだ?あの人」
「そーだね」
奥野さんと笑ったのだった。