お気に入り同期と恋人ごっこ
「おい!上野!」
朝から部長に呼ばれた。
「最悪・・・何だろぉ~」
朝から『上野!!!』って
何やらかした?あたし。
「何でしょうか?」
「伊藤さんが3階に来いって
電話がかかったから」
「あ・・・わかりました」
そんなこと・・・?
そのくらいのことで
みんなの注目集めるくらいのデカイ声で
言わなくてもわかるのに。
席に帰ると
「何だった?」
と奥野さんに聞かれるし
ほらほら。。。
「伊藤さんに呼ばれたみたいだから
行ってくる」
「あ~あ それだけ?」
「そうそれだけ(笑)」
3階に上がってみると
あたしのデザインしたTシャツが
商品となって出来上がっていた。
「どうだ?いいだろ?」
「はい!嬉しいです
夢みたいで・・・涙が出てきます」
「喜ぶのはまだ早いよ
今は一歩進んだだけで
売れなければただの布巾だからね」
「はい!わかってます!
売れなければ買い取りですよね」
「わかってるじゃん!
まぁ これからだよ」
それでも嬉しかった。
あたしが走り書きしたこの絵が
Tシャツになってるなんて・・・
母に自慢しなきゃ。