お気に入り同期と恋人ごっこ


「おい!上野!」


朝から部長に呼ばれた。


「最悪・・・何だろぉ~」


朝から『上野!!!』って
何やらかした?あたし。


「何でしょうか?」


「伊藤さんが3階に来いって
電話がかかったから」


「あ・・・わかりました」


そんなこと・・・?
そのくらいのことで
みんなの注目集めるくらいのデカイ声で
言わなくてもわかるのに。


席に帰ると
「何だった?」
と奥野さんに聞かれるし
ほらほら。。。


「伊藤さんに呼ばれたみたいだから
行ってくる」


「あ~あ それだけ?」


「そうそれだけ(笑)」


3階に上がってみると
あたしのデザインしたTシャツが
商品となって出来上がっていた。


「どうだ?いいだろ?」


「はい!嬉しいです
夢みたいで・・・涙が出てきます」


「喜ぶのはまだ早いよ
今は一歩進んだだけで
売れなければただの布巾だからね」


「はい!わかってます!
売れなければ買い取りですよね」


「わかってるじゃん!
まぁ これからだよ」


それでも嬉しかった。


あたしが走り書きしたこの絵が
Tシャツになってるなんて・・・
母に自慢しなきゃ。





< 96 / 165 >

この作品をシェア

pagetop