遠くて近い君との距離。【続編】
最終チェックの時間。
マフラーに埋めた顔を出し、スカートをそっと撫で手に持っていた鞄を担ぎ直し待合室を出る。
『待ってるね!』
そう返事を返して、彼が来るのを待つ。
前回会った時より伸びた髪に気づいてくれるかな。
少し今日はお化粧にも力を入れてみたけどどんな顔するかな。
だんだんと近づいてくる電車の音に胸が弾む。
電車が入るアナウンスが響く。
いよいよだ。
足音が次から次へと聞こえてくる。
改札口をするりと通り抜けていくたくさんの人達の中で、私は一人の存在を探す。
あの人じゃない。
この人でもない。
まだかまだかとそわそわする心を落ち着けながら、じっくりと探す。
「あの〜すみませんねぇ〜」
すると後ろから声をかけられる。
ふっと後ろを振り返れば1人のお婆さんがいた。