【完】恋のおまじないNo.1
「あっ、おはよう。あのね、昨日のことなんだけど…」



げ。



よりによって、このタイミングで。



俺を見つけて、ゆめが駆け寄ってきた。



この緊迫した状況に割って入るとか、さすがとしか言いようがない。



空気読めよ…。



「それ、今話すことか?」



冷たく言い放つけど、ゆめは必死。



「さっき、昇降口で話してるのを聞いたの。ふたりが別れたのは、あたしのせいなの!」



絶句…。



俺に詰め寄っていた女たちの表情が更に強ばる。



「宇佐美さんのせいって…まさか」



あぁ、言葉を選べよ!



今、一番言っちゃいけないやつだろ。



って、ゆめにはわかんねぇか。



きっと、頭の中はおまじないのことでいっぱいで。



これから言葉を続けようとしてるんだろうけど、相手の頭の中では一瞬のうちに俺とゆめへの嫌悪感が充満しているはず。



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