【完】恋のおまじないNo.1
「時間ねぇし」



「そうだけど…忘れ物ないかな」



ブツブツ言ってる間に、カズマはどんどん進んで行く。



待ってよ!



急いで追いかけて、となりを歩く。



「こうやって一緒に歩くの、久しぶりだね。中学のときは、よくこうやって…」



「朝から喋り過ぎ。遠足のためにエネルギー残しとけよ」



話を遮られ、黙りこむ。



あたしと話したくないってことなのかな。



あたしは、いっぱいカズマと話したいのに。



「遠足までもたなくて、いいもん。もっとカズマと話したい」



そう言ったら、カズマがあたしの頭を叩いた。



「えーっ、なんでぇ?」



「なにしに行くんだよ。だったら今から戻って、家で話そうか?」



絶対そんなこと思ってないくせに!



カズマはこれまで無遅刻無欠席で、サボるとか頭にないはず。



きっと実行しないはずだから、結局はこれ以上喋るなってことだよね。



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