【完】恋のおまじないNo.1
俺と合流するかと思えば、そうじゃなかった。



あくまで目的は、桃ちゃんと紫藤を会わせること。



俺のことなんて、気にもしちゃいない。



ひとり苛立っていると、また声をかけられた。



「聞いてた?」



なんか、俺に話しかけてたみたいだ。



全く聞いてなかった。



パッチリとした瞳がチャームポイントとでもいえそうなぐらい、大きな目を瞬かせながら、じっと俺を見ている。




「え…なに?悪いけどあんたと話す理由ないから」



ここは、もう一度言ってと優しく声をかけるべき?



けど、さ。



それをしちゃいけないって、本能で感じる。



相手の瞳には、明らかに俺への好意が滲みでている。



「桜庭くん、あのね…」



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