【完】恋のおまじないNo.1
「今、誰かと付き合う気ないから」



「ええーっ!そうなの?もったいない!」



なにがどう、もったいないんだよ。



お前と付き合わないことが?



俺が誰かを選ばないことが?



どっちにもメリットなんてないって、思わずにはいられない。



「あ~、もうやだ~。宇佐美さん、今回のは最強だって言ったのに。恥かいちゃった」



膨れっ面で、ポケットから出したミラーで前髪を整えている。



ゆめになんて言われたのかわかんねーけど、がっかりさせたことは確かだよな。



そして、不信感も募らせてる。



「宇佐美さん、ウソつきだよね。あたし騙された」



そういう言い方するかな。



ゆめは、なんも悪くねーじゃん。



いや…あいつが悪いのか。



不確かな情報を与え、相手に気を持たせ、結果裏切ることになる。



…やってることは、紫藤と同じ?



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