野崎兄弟のThousand Leaves(あかねいろ Thousand Leaves!番外編)
次に花純に会ったのは、翌年。
優斗が入院した時だ。
疲れ切って家に帰ると、そこに花純がいた。
「優斗に会わせて」
目をランランと光らせて、俺に飛びついてきた。
「どこに入院してるの!?」
「焦らなくても、明日には退院するよ」
「今!会いたいの!今、私が必要なはずなの!」
どうも芝居がかってるな。
「なんで?」
「私は『死』を知ってる!私だけが知ってるの!今、優斗を救ってあげられるのは私だけなの!」
腕をつかんだ。
「これのこと?」
何本もの白い筋が、そこに入っていた。
「また増えた?」
花純は俺の手を振り払った。
「教えて!教えてよ!」
「自分こそ、ちゃんと病院行った方がいいんじゃないの?」
「私を利用したくせに!自分のコンプレックスを!私を使って!…腹いせしたくせに!」
時間が止まった。
「わ、わたし、優斗を救ってあげたいの!私だけなの!」
馬鹿だな。
気づかなかったのか。
ずっと守ってやってたのに。
「新総南病院…405号室」
荒い息を抑えるように、花純が僕を見た。
「本当だよ。だけど、花純は帰ってくると思うな」
「ど、どこ…」
「僕のとこに」
「馬鹿にしないで…!」
花純は転げるように走り去った。
優斗が入院した時だ。
疲れ切って家に帰ると、そこに花純がいた。
「優斗に会わせて」
目をランランと光らせて、俺に飛びついてきた。
「どこに入院してるの!?」
「焦らなくても、明日には退院するよ」
「今!会いたいの!今、私が必要なはずなの!」
どうも芝居がかってるな。
「なんで?」
「私は『死』を知ってる!私だけが知ってるの!今、優斗を救ってあげられるのは私だけなの!」
腕をつかんだ。
「これのこと?」
何本もの白い筋が、そこに入っていた。
「また増えた?」
花純は俺の手を振り払った。
「教えて!教えてよ!」
「自分こそ、ちゃんと病院行った方がいいんじゃないの?」
「私を利用したくせに!自分のコンプレックスを!私を使って!…腹いせしたくせに!」
時間が止まった。
「わ、わたし、優斗を救ってあげたいの!私だけなの!」
馬鹿だな。
気づかなかったのか。
ずっと守ってやってたのに。
「新総南病院…405号室」
荒い息を抑えるように、花純が僕を見た。
「本当だよ。だけど、花純は帰ってくると思うな」
「ど、どこ…」
「僕のとこに」
「馬鹿にしないで…!」
花純は転げるように走り去った。