野崎兄弟のThousand Leaves(あかねいろ Thousand Leaves!番外編)
終わった。

というより、あいつオワッテル。

大学には入れても一般企業に就職はできないだろう。

それを恥ずかしいとも思わないんだから、救いようがない。


そして、あのクッキー。

アメリカには住みたくない。



スマホに着信が入っていた。

「もしもし、母さん?」

「ああ、もうお兄ちゃん…お願い。悪いけど帰ってきて…」

疲れきってる。


「どうした?」

「上総がマイコプラズマになって、それが八雲に移って、それが千隼に移って…」


あーあーあー…


「八雲と千隼が別々の病院に入院しちゃったもんだからね…穂積が向こうに居て良かった…」

穂積は小学校の編入試験に合格して、すでに祖父母宅で暮らし始めている。


「パパも大連に出張なのよ…」

「上総は大丈夫?」

「あ、あの子…あの子ね…」

母さんの声が怒りに震えている。


「さっさと強い抗生物質で治っちゃってね…でもまだ咳き込んでたのよ?それが…それが…今、どこだと思う!!」

「わかりません…」

「種子島だって!!もう帰ってこなくていい!宇宙センターからどこでも行きなさいって言ってやったわよ!」


でた。

波乗りバカ。

何やってんだ。

追い出された優斗もこの時期は日本にいない。


「すぐ行くよ。母さんも休んで」

「うう…気をつけてきてね…」
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