野崎兄弟のThousand Leaves(あかねいろ Thousand Leaves!番外編)
タオルで頭を拭きながら、優斗が部屋に入ってきた。
母さんがカレンダーを見て、すっとんきょな声を上げた。
「ああ!しまった穂積の予約…」
「なに?」
「穂積のカウンセリングの予約!明後日だわ…」
「お婆ちゃんは?」
「あの人、出歩くの嫌いなのよね。ああ…」
優斗が言った。
「俺が行く」
「だてえ…」
「俺が行く!」
母さんが俺の顔を見た。
いいんじゃない?
家を出てから、一回も穂積とは会ってないんだろうし。
いいのかなぁと、母さんの目は言っている。
近所の人に『二番目のお兄ちゃんに似てる』と言われて、穂積は言った。
「ボクは、あんなヤツに似たくない」
部屋が静まり返った。
「あなた、来月には結婚するんでしょ。こんなことしてる場合なの?」
優斗が心底うんざりした声で言った。
「結婚なんかするわけないじゃん!」
「え?」
「は?」
「だって…テレビで…」
「俺だって超ビックリしたよ…なんだよ、あれ」
「だって、相手がテレビで…」
「結婚の話しはされたから、俺もしたけどさ、あの人と結婚するなんて一言も言った覚えないんだけど!」
「…ええ?な、なんなの?そんなことで結婚報道までいかないでしょ?」
「向こうの実家までは行ったよ?確かに!だけど方言きつくて何もわかんねーんだ!こっちは原発の反対運動だって言われて行っただけなのに!」
「だけど、付き合ってはいたんだろ?」
バカなのは知ってた。
バカなのは、
知ってたはずだったのに…
衝撃の一言が待っていた。
「付き合ってねーよ!茜と付き合ってんだから!」
…
……
………
「なるほどー。そういうことか」
「ちょ、ちょっと…ええ?」
「ああ。なるほどね」
「お、お願いだから、納得しないでくれる…?」
母さんがカレンダーを見て、すっとんきょな声を上げた。
「ああ!しまった穂積の予約…」
「なに?」
「穂積のカウンセリングの予約!明後日だわ…」
「お婆ちゃんは?」
「あの人、出歩くの嫌いなのよね。ああ…」
優斗が言った。
「俺が行く」
「だてえ…」
「俺が行く!」
母さんが俺の顔を見た。
いいんじゃない?
家を出てから、一回も穂積とは会ってないんだろうし。
いいのかなぁと、母さんの目は言っている。
近所の人に『二番目のお兄ちゃんに似てる』と言われて、穂積は言った。
「ボクは、あんなヤツに似たくない」
部屋が静まり返った。
「あなた、来月には結婚するんでしょ。こんなことしてる場合なの?」
優斗が心底うんざりした声で言った。
「結婚なんかするわけないじゃん!」
「え?」
「は?」
「だって…テレビで…」
「俺だって超ビックリしたよ…なんだよ、あれ」
「だって、相手がテレビで…」
「結婚の話しはされたから、俺もしたけどさ、あの人と結婚するなんて一言も言った覚えないんだけど!」
「…ええ?な、なんなの?そんなことで結婚報道までいかないでしょ?」
「向こうの実家までは行ったよ?確かに!だけど方言きつくて何もわかんねーんだ!こっちは原発の反対運動だって言われて行っただけなのに!」
「だけど、付き合ってはいたんだろ?」
バカなのは知ってた。
バカなのは、
知ってたはずだったのに…
衝撃の一言が待っていた。
「付き合ってねーよ!茜と付き合ってんだから!」
…
……
………
「なるほどー。そういうことか」
「ちょ、ちょっと…ええ?」
「ああ。なるほどね」
「お、お願いだから、納得しないでくれる…?」