野崎兄弟のThousand Leaves(あかねいろ Thousand Leaves!番外編)
母さんがソファーにへたりこんだ。

「お茶入れようか?」

「パパの栄養ドリンク持ってきて…」


どこですか…?


「優斗…茜ちゃんと連絡取ってるの?」

「取ってねぇけど、ブログはチェックしてる。最近、二郎系のラーメンを…」

「じゃあ、取ってないのね?」

「アイツが謝ってくるまで待つんだ、俺は」


母さんの語気が強くなった。

「『何を』謝るのよ?」

「だから、結婚しないって言い出して…たぶん同居が嫌だったのかもしれないけど…」

「ど、同居?なにそれ」

「だから卒業したら、結婚して、うちに住んで…」


ドリンク、あった。

母さんに手渡す。


「軽く仕事はしてもいいけど、基本は家で…」


俺も飲もう。


「何を…何を言ってんの!?」

母さんが立ち上がった。


「そんな、そんな結婚とか同居とか軽く言わないで!」

「軽くなんて言ってない」

「勝手に決めないでよ!ここはアナタの家じゃない!私たち夫婦の家よ!?それを…アナタが勝手に決めること!?」

「だって部屋あんじゃん」

「私だってまた油絵やりたいの!独立した人間は出ていってちょうだい!」

「何でだよ。娘ができたらいいじゃん!今日だって茜がいれば便利だったろ!」


母さんが頭を抱えた。


「とんでもない。とんでもないわ…見捨てられるはずだわ…」

「別れてないって!」

「こんな傲慢な男、別れて正解だわ…」

「だから、別れてない!」
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