野崎兄弟のThousand Leaves(あかねいろ Thousand Leaves!番外編)
ボクだって最初はね、ちゃんとお手紙返してたんだよ。


だけど、毎日読むのが大変なくらいお手紙が来て、

だんだん何が何だか分からなくなってきた。


しかもお返事返すでしょ?

そうしたら次の日、

「ねぇ。ミサキちゃんのはウサギさんだったじゃない。なんでワタシはフクロウなの?」

って文句言われるんだ…。


ああ、便せんのはなしね。


「別に、家にあるのを使っただけだから」

「家にあるのを使ったの?ワタシはちゃんと銀座まで行って、穂積くんのために選んだのよ?」

「あ、ああ。お婆ちゃんが誉めてたよ」

「そうよ!シールだってキレイだったでしょ!」

「うん、ブドウの…」

「ちゃんとしてね!」


ちゃんと…ちゃんとって何?


立ち去るエミリちゃん。

ぼうぜんとするボク。


「穂積くん…」


おずおずとサヤラちゃんがやって来た。

「なに?」

「さっき…『なーんだ?』っていうのやってたでしょ?」

「え、うん」


これは相手が『なーんだ?』と聞いてきたら、

相手の昨日と違うところを当てるっていう…。


いまだにルールが分からないゲームだ。



「サヤラにも…やって」

「うん。分かった」


待った。

『なーんだ』って聞かれるのを。

でもサヤラちゃんは、なにも言わない。


「やって」

「うん…」


しーーーーーーーーーーーーーん


「やってくれないの…?」


いや…

だから…あの…


「サヤラのこと、ムシするの…?」


しかたなくボクは言った。


「な、なーんだ…?」

「リボンのいろぉ!」

「…なーんだ」

「ポニーテールぅ!」


なーん…


なんなんだ!!

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