野崎兄弟のThousand Leaves(あかねいろ Thousand Leaves!番外編)
お祖父ちゃんの家には、ガラスの置物たくさんある。

お祖母ちゃんの趣味だ。


お盆とかお正月に僕たちが遊びに行くとなると、お祖母ちゃんは一日かかって、それをしまったらしい。

だからボクを預かるとなった時は、そうとう悩んだって。


「大丈夫。穂積ほどの天使はこの世にいないから!」

とママが説得した。


「だってアナタ…優斗に似てるって言ってたじゃないの…」


孫の人数が多すぎて、お祖母ちゃんはボクをよく覚えていなかった。


「顔の系統が似てるだけよ」

「『孫は来てよし帰ってよし』って言うけど…」

「何年前の話をしてるのよ。穂積はうちの秘蔵っ子なんだから、私だって手放したくないのよ…」

「だからあんな田舎に引っ込むのは早いって言ったでしょ」

「元の家からだって二時間掛かるわよ。どうか、よろしくお願いいたしますね!」


またもや家中のガラス製品をしまったお祖母ちゃんだったけど、

最近は安心してね、また飾るようになってきたよ。


その横をセカセカとお祖父ちゃんが通る。

「ハイハイハイハイハイ、ワタシの背広はドコですか?あ、コレですか。ハイハイハイハイハイ。パンね。パンでけっこう。コーヒーいただけますか。ハイハイハイハイハイ…新聞、新聞を…ね、ハイハイハイハイハイ…車来ましたか?まだ?まだ来ませんか、じゃあもう一杯いただきましょう。いや、来ましたね。母さん、車来ました。ハイハイハイハイハイ、おはようございます…」


お祖父ちゃんは乳製品の会社で働いている。

すごくせっかち。


「エライ人に見えないね…」

「見えないから出世できたのよ。穂積は男の反感を買うタイプだから、お気を付けなさい」
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