野崎兄弟のThousand Leaves(あかねいろ Thousand Leaves!番外編)
冬は大きな声を出したくないんだよ。

かすれてると、コーラスの授業で怒られるから。


だけど、

もうヤダ!

もうムリ!


「お手紙はもうお返事かけないっていったじゃないか!!」

「ワタシにだけは書いて!おねがい~~~」

「書かないよ。みんなに書かないって決めたの!」

「ねぇ!うちのリルケ可愛いって言ってたでしょー!?今日の朝ね…!」

「犬のはなしは、もういいよ…」


ミサキちゃんの目から、おおきな涙がボッタボッタンたれ始めた。


「だって…だって…ひどいよ。わ、わたし、何度も告白してるのに、返事もくれないなんて…」


だってリルケを注射につれていった話だと思ったら

「とつぜんですが私はほずみくんが好きです。あいしてると思います」

って書かれても…


「穂積くんはっっっわわわわたしのことキキキキライなのっっっお?」

「キライとかじゃなくてさぁ」

「ほほほかにすすすっ好きな人がいいいるのっっっっお!?」

「いません~」

「じゃあ、どんな人が好きなのぉぉ?わ、わたしそれになるからぁ!」

「えー?」

「言ってぇぇぇぇぇ!」


のびる…

のびちゃうよ、セーターが…


どんな人が好き…?

ううう~~む。


「…年上が、好きかもしれない」

「え!だったら、わたし年上だよ!だって穂積くん10月生まれでしょ?わたし5月生まれだもん!」

「………もっと上」

「なにそれ!?どれくらい上がいいの?」


茜ちゃんくらい…?


「じゅっさい…くらい」

「10才!?それじゃうちのママと同じじゃないっっ」

「そんなわけないでしょ!」

「だって本当だよ!?うちのママ、わたしと10才くらいしか変わらないもん!」

「ぜったいない。そんなのおかしい」

「ショック…!ショック~~~~~!!」


この学校は…


この学校は…


もっと算数をやらせなきゃダメだ…!
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