野崎兄弟のThousand Leaves(あかねいろ Thousand Leaves!番外編)
最近、こんなことばっかり。

女の子ってメンドクサイ。


それなのにね、



音楽は、女の子にはかなわないんだ。

ミサキちゃんはバイオリンなのに、ピアノもすごい。


こんなに違うのかって、心臓がいたくなる。


ボクつかれちゃった。


神夢くんはあいかわらずムシしてくるし、

咲太郎くんは「わかんない。しらない。おぼえてない」だし。

そんなに何にもないなら、なんのために生きてんのっ!



言いたくないけど、ママに会いたい。

家に帰りたい。

海が見たい。


その夜、ボクは気が付いたら大泣きしてた。

じぶんの泣き声で目がさめるなんて、あるんだね。


びっくりして、お祖母ちゃんが入ってきた。


「どうしたのよ?」


寝起きでボクにもわからなかったし、

言葉でせつめいできなくて、

ボクはただ泣いた。


お祖母ちゃんがボクの背中をポンポンたたいてくれて、

お祖父ちゃんがホットミルクを作ってきてくれた。

「ハイハイハイハイ、おなかに何か入れるといいでしょう。飲みなさい飲みなさい。ゆっくりでけっこう。ハイハイハイハイ」

と、いつも通りのアップテンポで風のように去って行った。


ボクがミルクを飲んでいると、お祖母ちゃんがガラスのランプを持ってきた。

「これを見ながら横になりなさい」


ランプにあかりが入ると、昔の写真みたいな色をしていて絵が浮き出てきた。

「コドクを味わう、いいきかいだわ」


ベッドの上で、ランプの絵を見た。


滝があって、木が生えてて、男の人が歩いてる…

ひとりで、どこに行くの?

なにしてるの?




……
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