野崎兄弟のThousand Leaves(あかねいろ Thousand Leaves!番外編)
横断歩道でハッとした。


向こうもボクに気が付いた。


目を反らしながら、歩道を渡る。


「穂積!」


怖い。

情けないけど、怖い。


「ああ、やっぱしぃ!野崎選手だあああ!!マジすげええ!穂積、オマエすげええええ!!」


大声で飛びはねる。


「ファンです!!マジ、超かっくいいい!!オレもアニキもファンなんです!!」

「ありがとう」

「サインもらってもいいっすか!?」

「うん」


優斗がサインを書き始める。

イライラする。


「写真も撮っていいっすかあ!?」

「いいよ」


「あ、じゃあ!」


スマホを手渡された。


ボク!?

なんでボクがとるの!?


地面にたたきつけてやりたい。


でもさっさと終わらせたかった。


「…はい」

「いやあああ穂積!オマエ、マジですげーよ!マジすげーよ!野崎選手がアニキなんて!すっげーウラヤマ!」


バカみたい。


「またダチやってよ!オレ、一年の時コイツと同じクラスで、すっげー仲よかったんすよ!」

「へえ。そうなんだ」


こいつ…なに言ってんの…?

誰のせいでカウンセリング始めたと思ってんの!?

お、オマエなんかと…!

オマエなんかと仲良くするくらいなら、コドクの方がマシ!!


二人を置いてけぼりにして、ボクは歩きだした。
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