野崎兄弟のThousand Leaves(あかねいろ Thousand Leaves!番外編)
ピアノの練習はしてたけど、10日も休んじゃった。
課題コワイ…。
月曜日からは学校に行けるかなっていう金曜日の午後、
なんと神夢くんがお見舞いに来た。
神夢くんは黙って袋から、お見舞いの品を広げ始めた。
わー。
多いなー…
「あとミサキから。ちゃんと別に渡しといてって」
リルケの写真…
「あ、ありがとう」
次に出てきたのは、ピアノとリズムの課題。
神夢くんは、それを1個づつていねいに教えてくれてた。
だんだん夢中になってきて、気がついたら二人でピアノの前にいた。
「たぶん、ここはズッチャズッチャズンズンチャッ」
「ズッチャズッチャズズズズ」
時間があっという間に過ぎた。
「ボクね、作曲家になりたいんだ」
と神夢くんが言った。
「え、ピアニストじゃないの?」
「ピアノも好きだけど、曲作るのおもしろくなっちゃった」
「へえ…」
「ボクね、穂積が休んでる間にね、作った曲がある」
神夢くんがピアノをひきだした。
むずかしい曲じゃない。
スーン ススー ス スンスン スー スス…スーン ススーン…
ごめんねって言ってる。
「どう?」
「よく分かる曲だった」
神夢くん、顔が赤い。
「さ、咲太郎はさ!スゴいんだよ!」
え、どこが?
「三才からドラムも習ってるし、ギターもベースも超うまいんだ!」
「ウソ!」
「ホント!お父さん、作曲家のミヤマエイジなんだよ!」
「だれ?」
神夢くんは、アイドルグループの名前をいくつか上げた。
「穂積がフッカツしたら、家に遊びに行っていいって。家中、楽器だらけなんだよ」
「咲太郎くんてほんとはスゴいのかな…ピアノのレッスンでも泣いたことないみたいだし」
「だけど咲太郎はチェロだよ?」
「え!?」
「ていうか…穂積、泣いたことあんの?」
しまった…
「うん…ちょっと。ちょこっとね」
「ボクある…しょちゅうある!」
そうなんだー。
安心しちゃった。
神夢くんが言いづらそうにボクを見た。
「ボクの家も来てよ…」
「いいの?」
「スタインウエイある…」
「でええええええっ!!」
「だけどさ…ぼ、ボクのお母さんはダメだよ?」
はあ…?
「穂積ってジュクジョ好きなんでしょ?」
な、な、な、
「ナニソレっ!そんなの好きじゃないよ!」
「だって女子が言ってたよ」
「ボク、10才くらい上って言ったんだよ!」
「くらいってどれくらい?」
だからぁ…!
「11才は?」
「セーフ」
「12才は?」
「セーフ」
「13」
「セーフ」
「14…ってもういくつまでセーフ?それが分かんないと困るんだよなー!」
ボクだって…困ったなぁ。
課題コワイ…。
月曜日からは学校に行けるかなっていう金曜日の午後、
なんと神夢くんがお見舞いに来た。
神夢くんは黙って袋から、お見舞いの品を広げ始めた。
わー。
多いなー…
「あとミサキから。ちゃんと別に渡しといてって」
リルケの写真…
「あ、ありがとう」
次に出てきたのは、ピアノとリズムの課題。
神夢くんは、それを1個づつていねいに教えてくれてた。
だんだん夢中になってきて、気がついたら二人でピアノの前にいた。
「たぶん、ここはズッチャズッチャズンズンチャッ」
「ズッチャズッチャズズズズ」
時間があっという間に過ぎた。
「ボクね、作曲家になりたいんだ」
と神夢くんが言った。
「え、ピアニストじゃないの?」
「ピアノも好きだけど、曲作るのおもしろくなっちゃった」
「へえ…」
「ボクね、穂積が休んでる間にね、作った曲がある」
神夢くんがピアノをひきだした。
むずかしい曲じゃない。
スーン ススー ス スンスン スー スス…スーン ススーン…
ごめんねって言ってる。
「どう?」
「よく分かる曲だった」
神夢くん、顔が赤い。
「さ、咲太郎はさ!スゴいんだよ!」
え、どこが?
「三才からドラムも習ってるし、ギターもベースも超うまいんだ!」
「ウソ!」
「ホント!お父さん、作曲家のミヤマエイジなんだよ!」
「だれ?」
神夢くんは、アイドルグループの名前をいくつか上げた。
「穂積がフッカツしたら、家に遊びに行っていいって。家中、楽器だらけなんだよ」
「咲太郎くんてほんとはスゴいのかな…ピアノのレッスンでも泣いたことないみたいだし」
「だけど咲太郎はチェロだよ?」
「え!?」
「ていうか…穂積、泣いたことあんの?」
しまった…
「うん…ちょっと。ちょこっとね」
「ボクある…しょちゅうある!」
そうなんだー。
安心しちゃった。
神夢くんが言いづらそうにボクを見た。
「ボクの家も来てよ…」
「いいの?」
「スタインウエイある…」
「でええええええっ!!」
「だけどさ…ぼ、ボクのお母さんはダメだよ?」
はあ…?
「穂積ってジュクジョ好きなんでしょ?」
な、な、な、
「ナニソレっ!そんなの好きじゃないよ!」
「だって女子が言ってたよ」
「ボク、10才くらい上って言ったんだよ!」
「くらいってどれくらい?」
だからぁ…!
「11才は?」
「セーフ」
「12才は?」
「セーフ」
「13」
「セーフ」
「14…ってもういくつまでセーフ?それが分かんないと困るんだよなー!」
ボクだって…困ったなぁ。